関東と関西における不動産取引の慣習の違い

不動産売買

関東と関西では方言の違いがあるように、不動産取引の慣習もそれぞれ異なります。

海外のクライアント様が関西圏の不動産を購入することが多々あり、関西の不動産取引の立ち合いをよくこなしてきたなかで気づいた関東と関西の不動産取引の慣習の違いについて解説します。

関東と関西の不動産取引の慣習

一本指のビジネスマン

関東と関西では、不動産を売買する際の関与する司法書士の数が違います。

今回は関東と関西の不動産売買における慣習の違いを説明していきます。

関東における不動産売買の慣習

東京タワー

当事務所は東京都新宿区にありますが、関東の不動産売買のお取引については、基本的には一つの司法書士事務所が登記手続きを担当いたします。

例えば、売主様の不動産に抵当権等の担保権が付着(設定)されている場合を例にとりますと

1件目 抵当権抹消
2件目 所有権移転
3件目 抵当権設定

という登記の内容である場合には、一連の手続きは基本的に全て一つの司法書士事務所が担当します。

これは関東圏における売買契約書には、所有権の移転にかかる登記費用の負担は、買主が負担するといった内容の約款が付されているためです。

ただし、関東圏においても複数の司法書士事務所が関与する場合もあります。

よくある例としては、金融機関が店舗を持たないネット銀行等の場合です。

この場合抵当権設定の登記手続きについては、抵当権設定契約書にネット銀行指定の司法書士とするような約款が付されているためです。

この場合

1件目 抵当権抹消  A司法書士事務所
2件目 所有権移転  A司法書士事務所
3件目 抵当権設定  B司法書士事務所

といった具合に、登記手続きに関与する司法書士事務所が複数になります。

買主様の負担としては、所有権移転に関する登記費用につきA司法書士事務所から、抵当権設定に関する登記費用につきB司法書士事務所から請求されることになります。

A司法書士事務所とB司法書士事務所からの請求になるため、一つの司法書士事務所で全ての手続きをした場合より、総額の費用が高くなるケースが多いです。

ネット銀行指定の司法書士が関与する場合は、所有権移転についてもネット銀行指定の司法書士事務所が登記手続きを担当することが多いです。

ただし、複数の司法書士事務所が関与する場合であってもネット銀行指定の司法書士事務所が全ての手続きを担当するより、総額が安くなる場合もあります。

関西における不動産売買

グリコ

関西における不動産売買の司法書士事務所の数は基本的に司法書士事務所が2つ関与します。

例えば売主の不動産に抵当権等の担保権が付着(設定)した不動産を購入する一般的なケースでご説明します。

1件目 抵当権抹消 A司法書士事務所
2件目 所有権移転 A司法書士事務所とB司法書士事務所
3件目 抵当権設定 B司法書士事務所

といった具合です。

関東では所有権移転登記申請につき、買主(権利者)と売主(義務者)の双方の代理人になる(これを双方代理といいます)ことがほとんどですが、関西の不動産取引については、所有権移転登記申請につき、双方代理をして一つの司法書士事務所が全ての登記手続きを担当することは少なく、売主(義務者)の代理人司法書士と買主(権利者)の代理人司法書士がそれぞれの代理人として不動産取引に関与することがほとんどです。

また関西の売買契約書には一般的に、売り渡しに関する書類作成費用は売主の負担とするといった条項が記載されていることがほとんどです。
関東の売買契約書のひな形にはこの費用について記載されていることはほとんどありません。
この点も関東と関西の不動産取引の慣習の違いです。

そのため、登記手続きが所有権移転登記の場合は、関東なら一つの司法書士事務所がこの手続きをし、売主様から売り渡しに関する書類作成費用はいただきません。

関西では、2つの司法書士事務所が関与し、売主代理人A司法書士、買主代理人B司法書士といった形で登記申請をし、買主の所有権移転登記費用はB司法書士事務所が請求し、売主には売り渡しに関する書類作成費用として、A司法書士事務所から請求される形になります。

さらに、ご融資を受ける金融機関が、ネット銀行であって抵当権設定登記はネット銀行指定の司法書士事務所でなくてはならない場合は下記のようになります。

1件目 抵当権抹消登記 A司法書士事務所
2件目 所有権移転登記 A司法書士事務所とB司法書士事務所
3件目 抵当権設定登記 C司法書士事務所(ネット銀行指定の司法書士事務所)

といった具合になり、3つの司法書士事務所が関与することになります。

もっとも、この場合所有権移転登記についてもネット銀行指定の司法書士事務所が担当するケースが多いです。

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